木村秋則のりんごの値段は？奇跡の果実の価値

「奇跡のりんご」で知られる木村秋則さんのりんごについて、その値段はいくらですか？と気になる方は多いでしょう。この記事では、りんごがどこで売ってるのか、そしてりんごを育てる農園はどこにあるのかという基本的な情報から、奇跡のりんごは現在どうなっていますか？という最新状況までを深く掘り下げて解説します。さらに、物語の背景にある、感動を呼んだ奇跡のリンゴの映画や、NHKのプロフェッショナルで語られた壮絶な7つの試練にも詳述。木村さんは現在何歳で、彼の現在と家族はどうしているのか、そして彼の哲学とも言えるりんご宇宙人というキーワードの真相にも迫ります。単なる果物の価格情報にとどまらない、りんごの値段の裏にある、壮大で深い物語を紐解いていきましょう。

この記事で分かること

木村秋則のりんごの具体的な値段と入手困難な理由
りんごの値段の背景にある映画化された壮絶な物語
木村秋則さんの人物像と自然栽培を広める現在の活動
なぜ「奇跡のりんご」がこれほどまでに人々を惹きつけるのか

木村秋則のりんごの値段は？購入方法も解説
木村秋則のりんごの値段を支える壮大な物語

木村秋則のりんごの値段は？購入方法も解説

実際の値段はいくらですか？
りんごはどこで売ってるの？
りんごを育てる農園はどこ？
奇跡のりんごは現在どうなっていますか？
木村さんは現在何歳？

実際の値段はいくらですか？

木村秋則さんのりんご、またその自然栽培の哲学を受け継ぐ農園のりんごの値段は、一般的なりんごの価格とは全く異なる基準で設定されています。これは、慣行栽培とは比較にならないほどの栽培の困難さ、そしてそこから生まれる圧倒的な希少価値が直接反映されているためです。

例えば、過去に木村さん本人が栽培した紅玉が1玉660円（税込）で販売された記録があります。これは、スーパーマーケットで売られているりんごの数倍から十数倍の価格に相当します。また、木村さんの指導のもとで同様の栽培を行う他の農園では、3kg（10〜13個入）の箱が10,800円（税込）という価格で予約販売されるケースも見られます。

値段だけを見ると非常に高価に感じられるかもしれません。しかし、りんごが病害虫に弱く、農薬なしでの栽培が「絶対不可能」とされてきた歴史を考えると、この価格の意味合いは変わってきます。収穫量が慣行栽培の半分以下になることも珍しくなく、その一つ一つが自然の厳しさを乗り越えた結晶であることを知ると、多くの人がその値段に込められた価値を理解し、納得しているのです。

価格についての注意点

これらの価格はあくまで過去の販売実績に基づく一例です。自然栽培のりんごは、その年の天候に収穫量が大きく左右されるため、価格は毎年変動します。そもそも市場に安定して流通することがないため、「定価」という概念自体が存在しにくい、特別な存在であると理解しておく必要があります。

りんごはどこで売ってるの？

　　　　　　　　　　　　　　↑イメージ：スターダスト作成

結論から申し上げると、木村秋則さん本人が栽培した「奇跡のりんご」を、一般の市場やスーパーマーケット、百貨店などで購入することは現在ほぼ不可能です。インターネットで検索しても、簡単に見つけることはできません。

その最大の理由は、無農薬・無肥料の自然栽培では収穫量が極めて限られており、商業ベースでの安定供給が物理的に不可能だからです。過去には公式サイトや提携するオンラインストアでごく稀に販売告知がされることもありましたが、その際は全国から注文が殺到し、販売開始からわずか数分で完売するほどの人気でした。そのため、近年では新規の購入者受付を恒久的に停止している状況が続いています。

木村さんの指導を受けて自然栽培に取り組む「自然栽培の仲間たち」といった生産者団体のりんごも存在しますが、こちらも同様に生産量が非常に少なく、そのほとんどが予約販売で占められます。確実に入手を希望する場合、各農園の公式サイトやメールマガジンなどを定期的に確認し、数少ない予約受付のタイミングを逃さないようにする以外に方法はありません。

「どこで売ってるの？」という問いへの最も現実的な答えは、「特定の農園の公式サイトで、いつ始まるか分からない予約を待つ」ということになります。そのチャンスは極めて少ないのが実情であり、だからこそ「幻のりんご」とも呼ばれているのです。

りんごを育てる農園はどこ？

木村秋則さんのりんご畑、すなわち「奇跡のりんご」が生まれた物語の舞台は、りんごの名産地として知られる青森県弘前市の、雄大な岩木山の麓にあります。農園の正式な名称は「木村興農社」です。

この場所は、2013年に全国公開された映画『奇跡のリンゴ』（配給：東宝）でも忠実に描かれ、多くの人がその風景を知ることとなりました。日本一のりんご産地でありながら、誰もが無農薬栽培は不可能だと信じていたこの土地で、木村さんは誰にも理解されない孤独な戦いを何年にもわたって続けてきたのです。

木村興農社の現在

現在、「木村興農社」は木村さんのご家族、特に次女の方が中心となって運営されており、りんご栽培の灯は守り続けられています。大規模な宣伝や販売は行われていませんが、SNSなどを通じて、自然と共に在る畑の現在の様子が時折発信されています。

りんご栽培の聖地とも言えるこの場所で、今もなお、効率や生産性だけを追い求めない、自然の摂理に沿った栽培方法が静かに実践されています。

奇跡のりんごは現在どうなっていますか？

　　　　　　　　　　　　　↑イメージ：スターダスト作成　　　

「奇跡のりんご」の物語は、りんごが安定して実を結んだ時点で完結したわけではありません。現在、木村秋則さん自身は、一個のりんご農家として栽培だけに専念するというよりも、自らが苦難の末に確立した無農薬・無肥料の「自然栽培」の技術と哲学を、国内外に広く普及させる活動にその情熱の多くを注いでいます。

彼は「NPO法人青森県木村式自然栽培実行委員会」や「芸術自然栽培研究会」といった組織の重鎮として、全国各地、さらには海外にも足を運び、後進の育成や農業指導を精力的に行っています。彼の教えは、りんごだけでなく、米や野菜、その他の果樹など、あらゆる作物の栽培に応用できる普遍的なものであり、持続可能な農業の実現を目指す多くの生産者から支持を集めています。

もちろん、弘前の畑でのりんご栽培が途絶えたわけではなく、前述の通りご家族がその精神と技術を堅実に守り続けています。つまり、「奇跡のりんご」という言葉は、もはや特定の果実の名前を指すだけでなく、自然と共生する農業のあり方を目指す、一つの大きなムーブメントの象徴へと進化しているのです。

木村さんは現在何歳？

木村秋則さんは、1949年（昭和24年）11月8日生まれです。

この記事を執筆している2025年10月現在、満75歳となります。

彼が「絶対不可能」と言われた無農薬栽培に本格的に着手したのが1980年代。そこから10年以上にわたる先の見えない苦闘の末に成功を収めました。70代半ばを迎えた現在においても、その情熱と探求心は全く衰えることなく、未来の食と農業のために、自らの経験と知識を伝えるべく精力的に活動を続けていらっしゃいます。彼の年齢を知ることは、一つのことを成し遂げるために必要な、人生を懸けた時間の重みと弛まぬ努力に、改めて深い敬意を抱かせるものがあります。

木村秋則のりんごの値段を支える壮大な物語

NHKプロフェッショナルで話題に
感動を呼んだ奇跡のリンゴの映画
映画で描かれた壮絶な7つの試練
彼の現在と支え続けた家族
独特の哲学「りんご宇宙人」とは

NHKプロフェッショナルで話題に

木村秋則さんの存在と彼の成し遂げた偉業が、一部の農業関係者だけでなく全国的に広く知られる大きなきっかけとなったのが、2006年12月7日に放送されたNHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル仕事の流儀」です。

この放送は、「農家木村秋則の仕事腐らないりんご、その秘密」と題され、彼の歩んできた壮絶な過去と、農薬や肥料を一切使わないという常識外れの栽培方法の核心に迫りました。特に視聴者に強烈なインパクトを与えたのは、収穫したりんごの驚くべき生命力でした。番組内で紹介された、切ってから2年経っても腐敗せず、水分が抜けて枯れるように萎んでいくりんごの姿は、化学的な常識では説明がつかない現象であり、りんご本来が持つ生命力が最大限に引き出されている証拠として多くの人々を驚かせました。

この放送後、NHKには視聴者からの問い合わせが殺到し、「奇跡のりんご」は単なる無農薬りんごから、社会現象とも言えるほどの特別な存在として認知されることになったのです。この番組がなければ、彼の物語がこれほど多くの人々の心に深く届くことはなかったかもしれません。

感動を呼んだ奇跡のリンゴの映画

　　　　　　　　　　　　　　　↑イメージ：スターダスト作成　　

木村秋則さんの物語は、ドキュメンタリー番組を通じて多くの人々に知られた後、さらに大きな感動の渦を巻き起こすことになります。2013年6月8日に公開された映画『奇跡のリンゴ』です。この作品は、ノンフィクション書籍「奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録」（石川拓治著）を原作とし、彼の半生を忠実に描き出した実話の物語です。

主演の阿部サダヲさんが、狂気と愛情の狭間で揺れ動く主人公・木村秋則さん役を、そして妻の美栄子さん役を菅野美穂さんが演じ、不可能と言われたりんごの無農薬栽培に挑む夫婦の愛と、それを支える家族の苦難の道のりを描き切り、興行収入10億円を超える大ヒットを記録し、日本中に大きな感動を呼びました。

映画『奇跡のリンゴ』作品情報

劇場公開日：2013年6月8日
監督：中村義洋
脚本：吉田智子、中村義洋
主演：阿部サダヲ（木村秋則役）、菅野美穂（木村美栄子役）
配給：東宝

この映画化の成功により、「奇跡のりんご」の背景にある、経済的困窮や地域社会からの孤立といった人間ドラマの側面がより鮮明に描かれました。結果として、単なる農業のサクセスストーリーではない、逆境の中でも希望を失わない家族の絆の物語として、人々の記憶に深く刻まれることとなったのです。

映画で描かれた壮絶な7つの試練

木村秋則さんが自らの経験を語る際に用いる「7つの試練」という言葉。これは、無農薬・無肥料の自然栽培を確立するまでの約11年間、彼と彼の家族が直面した、筆舌に尽くしがたい困難を象徴するものです。

これは7つの特定の出来事を数え上げたものではなく、彼が乗り越えてきたあらゆる苦難の総称として語られています。映画でも描かれたその内容は、まさに壮絶なものでした。

試練の側面	具体的な内容の詳細
経済的な困窮	りんごの木は花を咲かせず、当然実もならず、収入は完全にゼロに。生活のために家財を売り払い、消費者金融などから借金を重ねる日々。映画では、周囲から「かまどけし（津軽弁で破産者の意）」と蔑まれるシーンも描かれました。
社会的・精神的孤立	「農薬がなければりんごはできない」という絶対の常識に逆らう彼の行動は、親戚や他の農家仲間から全く理解されず、奇人扱いされました。誰にも相談できず、孤立無援の状態でした。
病害虫との終わりなき闘い	農薬という武器を捨てた畑は、病気や害虫の天国と化しました。りんごの木は葉を落とし、まるで枯れ木のように変わり果て、見るも無残な状態の畑が何年も続きました。
家族への負担	父親の挑戦のために、3人の娘たちは学校でいじめに遭うこともありました。欲しいものも買えず、貧しい生活を強いることへの罪悪感は、木村さんを深く苦しめました。
自殺の衝動	全てが徒労に終わり、家族を巻き込んだことへの自責の念から、彼は一度、全てを終わらせようと真剣に死を決意しました。深夜、ロープを手に岩木山へ向かったことは、彼の精神が限界に達していたことを物語っています。

しかし、まさにその死の淵で、彼は自然の中に答えを見出します。これらの想像を絶する試練を乗り越えられたのは、後述する家族の揺るぎない支えと、そして彼自身の決して諦めない鋼のような意志があったからに他なりません。

彼の現在と支え続けた家族

木村秋則さんの前人未到の挑戦を語る上で、彼の家族の存在は絶対に欠かすことができません。そもそも、彼が「神の領域」とまで言われた無農薬栽培を志した、その全ての原点は、妻・美栄子（みちこ）さんの健康問題でした。

農家の長男に嫁いだ美栄子さんは、りんご栽培に不可欠な農薬を散布するたびに、皮膚がかぶれ、何日も寝込むほど体が弱かったのです。愛する妻を農薬の苦しみから解放したい、その一心で始まった挑戦でした。しかし、その純粋な想いは、結果的に家族を極貧のどん底へと突き落とします。

それでも美栄子さんは、ただの一度も夫を責めず、文句一つ言わずに、内職などで家計を支え続けました。3人の娘さんたちも、貧しい生活の中で父親の奇行を耐え抜き、その背中を静かに見つめていました。この家族の無言の信頼と支えがなければ、木村さんはとっくの昔に心を折られていたでしょう。

前述の通り、木村さんは現在、自然栽培の指導者として世界中から尊敬を集める存在です。そして、彼の原点である弘前の農園「木村興農社」はご家族が守り、その栽培技術と思想は次世代へと確かに受け継がれています。彼の現在の輝かしい活躍の礎には、どんな暗闇の時代も彼を信じ続けた家族の無償の愛があったのです。

独特の哲学「りんごと宇宙人」とは

木村さんの著書や講演に触れると、時折「宇宙人」という、農業とはかけ離れた不思議なキーワードが登場し、人々を驚かせます。これは、彼が経験した神秘的な体験や、常識的な思考の枠を超えて自然から得たインスピレーションを表現する際の、彼独特の比喩的な言い方です。

八方塞がりとなり、死を決意してさまよい込んだ岩木山の奥深くで、彼は一本の野生のクルミの木を発見します。人間が何も手を加えていないにもかかわらず、その木は病気一つなく、青々とした葉を茂らせていました。この時、彼は雷に打たれたような衝撃を受けます。「人間が全てをコントロールしようとすることが間違いだった。答えはすべて、この自然の中にある」と開眼したのです。

この、人間の常識や科学的知識を超えた次元での気づき、そしてその後、りんごの木や土の中の微生物と対話するかのようにして得られた数々のヒントを、彼は「まるで宇宙人に教えてもらったかのようだ」と表現しています。

これは決してオカルト的な話ではありません。人間の固定観念や傲慢さを捨て、謙虚に自然を観察し、その声に耳を澄ませることの重要性を、私たちに分かりやすく伝えようとする彼の言葉なのです。彼の自然栽培は、単なる科学的アプローチだけでなく、自然への深い畏敬の念と魂の対話に基づいていることが、この言葉からもうかがえます。